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1 赤い登山ウェア
前を赤い登山ウェアの女が歩いている。
しばらくすると見えなくなった。
後ろを見ると、女がだいぶ遅れて歩いている。
峯を登ると、沢に、赤い登山ウェアの女の姿が見えた。
山小屋で、このことを話すと、管理人が、
「あなたも見ましたか。
あれは登山者ではないです。沢に住んでいるんですよ」
といった。
夕刻、女が居た沢で、登山者の遺体が見つかった。
赤い登山ウェアは、落石による怪我で大量出血したためだった。
「いくら注意しても、誰が住んでいるか、見に行く人がいましてね。
赤く染まって、魂を抜かれるんですよ・・・。
夕飯は焼き肉ですよ・・・・」
管理人が、血の付いた肉切り庖丁をテーブルに置いた。
(了)
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