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「私も同じです。フォルトは器用に見えて実は不器用だってずっと前から知ってますから」
家族には全部筒抜けなのか……敵わねーなぁ。
「出発の時間です」
御者が何も言えないオレに気を遣って言った。
「それではしばらくはさよならですね。神の御加護があらんことを」
「気をつけるのじゃぞ。ちゃんとご飯は食べるんじゃぞ」
「うん!ありがとう!2人とも元気でね!」
こういう時ちゃんと素直に全部言えるアルマが羨ましくて。
「…シスターは無理すんなよ。…じいちゃんはとにかく死ぬなよ」
やっと捻り出した言葉にも心が込められなくて。
「この別れの方がよっぽど無理です!」
「んなもん死ぬわけなかろうが!」
それでもちゃんと返してくれてありがとう。
オレとアルマは王都に向けて馬車を進めた。
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