雨が降らなくても大丈夫

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「あれ、お客さん?」 「言ったでしょ。同じ被害者家族の萌佳ちゃん」 「あー、母さんが母親面して迷惑がってない?大丈夫?」 あたしの座っているところまできて「はじめましてー」とニコニコしている。 「.......っ、晴空くん?」 そこに立っている人は晴空くんの顔をしているのに、雰囲気も話し方もなにもかもが晴空くんとは違って、大人になったような晴空くんのようなこの人にあたしの息は止まりそうになる。 「え?なぁ、母さん.......この子に晴空のこと話した?」 「え?晴空のこと.......?」 「この子、俺をみて晴空って」 「え!?どうして!?萌佳ちゃんどういうこと!?」 「.......っ」 いつも落ち着いている吉崎さんの尋常じゃない様子にこれは普通じゃないと感じ取る。 「母さんビックリしてるだろ。落ち着けって」 「だって、萌佳ちゃんに晴空の名前を言ったこともないし、萌佳ちゃんと晴空に接点はないもの.......晴空の名前が出るなんて.......晴空」 吉崎さんが床に手をついて静かに涙を流す。 「やっぱり大丈夫、大丈夫だって言っても大丈夫になってないだろ」 息子さんが吉崎さんの背中を摩るけど、全然状況が掴めない。
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