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「この次の雨の日に.......」
「明日雨ふるかな.......」
「次、雨降ったら言う」
雨が降るたびに、次こそはって決意するけど、その決意が実行されたことはない。
「雨宿りさせてね」
「うん」
彼はひとつ上の先輩の晴空くん。
雨が降ると学校の近くにあるあたしの家で雨宿りをしていくのが恒例になってもう1年は経つのかな。
不思議なのは何時に雨が降ろうとここに寄っていくところ。
さすがに夜中には来ないけど、そんな時は電話をくれるんだ。
晴空くんにはなにも話していないのに、あたしのことがわかってくれているような不思議な人だよ。
「晴空くんはどうして家にくるようになったの?」
「え?たまたまだよ。たまたま急に雨が降ってきたときにここの軒下が見えて」
「そっか」
その急な雨があたしと晴空くんを出会わせてくれたのかと思うと感謝しかない。
そういえば急な雨で頭が痛くなってきて.......軒下で休憩していたところに晴空くんがやって来たんだっけ。
「晴れた空で、晴空だよ。きっとすぐに晴れるよ」
なんて笑顔で言う晴空くんに雨でどんよりとしていた気持ちもなくなった。
雨が降ると落ちてしまう気分はいつも晴空くんによって救いあげられるんだ。
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