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枕元に置いてあったスマホの音が鳴り響く。寝ぼけ眼をしたまま裕人はスマホに手を伸ばす。
着信の主は正章からだった。時刻は深夜の二時を過ぎている。こんな時間に電話なんてかけてきやがって。なんだよと思いながら電話に出る。
「もしもし、なんだよこんな時間に」
「裕人、起きろ。今から流星群見に行くぞ」
裕人は不機嫌そうな声を出して電話をすぐ切るつもりだったが、正章の予想外の言葉に思わず聞き返してしまう。
「流星群、なんだよそれ?」
「お前、テレビ見てないのか。ニュースになってただろ。深夜から明け方にかけて流れ星が見えるって」
「へー、そう。じゃあ俺は寝るわ」
話を終わりにする素振りを見せると、正章はちょっと待てとツッコミを入れてくる。
「待て待て、だからお前も来いよ」
「なんでだよ。俺は眠いの」
「流星群見てから寝ればいいだろ。学校もないんだし。特にやることもないだろ」
勝手にやることないだろと断定されるのは気に食わないが、実際何も予定はないので反論は出来ない。
裕人としては、いい気分で寝ていたのを邪魔されたため、少々気分は良くない。しかし、正章と話している内に目が覚めてしまった。今からすぐ寝るのも難しいと判断して誘いに乗ることにする。
「わかったよ。行けばいいんだろ、行けば。どこ集合?」
「行くって言っといて、来ないのはなしだからな。公園分かるよな」
「ああ、知ってるけど」
「そこで。ちゃんと来いよ」
電話が切れる。とりあえずパジャマを脱いでTシャツとジーンズに着替える。寝癖がついているが、特に気にせず外に出る。
外は蒸し暑い。夜なんだから涼しくなれよと裕人は思う。空を見上げると、多くの星がしっかりと煌めいていた。天気はかなり良さそうだ。
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