第2章

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小国『(かい)』の領内にあるこの地域は 大国『(せい)』との国境が近く 両軍の小競り合いが続いていたのだが。 童子の目測で五万程の大軍を(よう)して 斉が侵攻するのは初めてである。 寡兵(かへい)による戦いを強いられ 劣勢ながらこの地を死守してきた垓軍なら この斉の進軍を見逃す筈がない。 必ずまた丞邑を守ってくれる。 そう考え北方の(かい)国側に目を向けた童子は 予想だにしない事態に愕然とした。 丞邑から鉛色の煙が無数に立ち上っている… 垓軍が丞邑を焼き払ったのだ。 斉の大軍侵攻を防ぎ切れないと判断した 垓王は略奪による食糧調達が出来ない様に 斉の進軍経路にある邑を焦土化して 侵攻を食い止める戦略に打って出たのだ。 垓軍は丞邑から食糧や衣服など全てを奪い去りその後に到着した斉軍は 進軍する為の食糧略奪が不可能と判断するや 自国へ(きびす)を返した。
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