グッバイ青春、よろしくピンキー

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 何度も目を擦って、何度も間宮を確認する。間宮の左手の小指には赤い糸が消えてなくなっていた。大袈裟に深呼吸を何度もしてから目を擦りもう一度マジマジと見た。 やっぱ視えない。じゃあマサキのは? え、ある? どういうこと? って、ちょっと待てよ。あれ? もしかして……  まだ、ぼやんぼやんする頭の中で浮かんできた一つの仮説が運命の赤い糸のように一本の線で繋がりかけたその瞬間、どんっと身体に衝撃が走った。思わず「ぐえっ」と鳴いてベッドにそのまま重さと一緒に倒れ込む俺。軽い重たさと、ふかふかのベッドの感触と、甘い匂い。そしてふかふかの2つの柔らかい感触。 「ちょっ、間宮っ!?えっ、へっ!?」  俺は頭が働かない。一体何が起きた!? 目の前には俺に抱きついて大声で泣いている間宮。「よかった」だとか「ごめん」だとか思いの丈をぶつけながら、わんわん泣いていた。 だけど、正直それどころじゃない。ちょっと待て!  間宮のふかふかが! 甘い匂いが! 顔! 顔近いって! 「ちょ、まっ、ふぁっ!」 「あ! 山岸! 鼻血! 鼻血出てるから!」 「つーか、おい、山岸? 山岸ぃ!?」  遠くでマサキ達が叫ぶ声が聞こえる。俺は赤い糸のような鼻血を両方から垂らしながら、このまま間宮のふかふかをずっと、いや、一生感じてたいな、なんてぼんやり思っていたけど、本当に一生の不覚なんだけど、非常に残念なことに俺の意識は「おっぱ……」という呟きと共に、ここでなくなってしまった。
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