グッバイ青春、よろしくピンキー

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*  あれから1週間が経った。俺はいつもと変わらない平穏な学校生活をのらりくらり過ごしている。 「ねえ、山岸ぃ」 「なんじゃらほい」 「今日カラオケ行かない?」 「んあ。ああ、オッケー承知の介」 「なにそれー」  あの日から赤い糸はもう全く視えなくなった。勿論、目の前で俺のつまらない冗談に笑ってくれている間宮の小指にも。  一体アレはなんだったんだろうか。本当に神様の気まぐれな暇つぶしだったんだろうか。 「山岸、どうかした?」 「ううん、なんでもない」  だけど、それでいいじゃん。そっちの方が絶対いい。運命の人なんてさ、知っちまったらつまんないじゃん、きっと。 でもね、一つだけ良かったことがある。 一つだけ大切なことに気づいちゃったわけよ。 それはさ…… 「じゃあ、みんなにLINEしとくわ」 「ううん。今日は……その、二人で……ね?」 「……へっ?」  運命って、もしかしたら変えられるかも?ってこと。  はっきり言ってやる。運命の赤い糸? 運命の2人? そんなものクソ喰らえっ!  そんなことより、おい、そこの目の前にいるかわい子ちゃん。ひとつだけ言わせてもらおうか。 今日も超絶的に可愛いじゃんか、こん畜生! 俺には運命なんて視えない。だから俺の恋物語は、まだまだこれからなんだぜ! おわり
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