グッバイ青春、よろしくピンキー

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 それは一週間前の出来事だった。いつもみたいに普通に朝起きて、普通に寝ぼけながらキッチンに向かって、普通に飯食いはじめたたわけ。そしたら、なんか母さんの指から赤い糸みたいなのが伸びていることに気がついた。そんで父さんの小指と繋がってた。ははん、とニヤける。 「おいおいお母さま、これはなんのジョークでしょうか。朝からお熱いことで。というか今日、結婚記念日かなんかだっけ?」  冷やかしまじりの台詞に母さんは怪訝そうな顔して「はい?なんのこと?」と聞き返してきた。ガチのやつ。ちょっとスベった空気になって焦る。「ほら、指のやつ」って慌てて指摘しても小指をポカンと見つめた後「朝からバカなこと言ってないで、さっさとご飯食べる!」と叱られた。  あれ?って思って目を擦り、もう一度小指を見てみた。だけど、それははっきりと見えたまま。父さんは照れた様子もなくいつものように仏頂面で新聞広げながらテレビのニュースを見ている。というか、よくよく考えればそんなふざけたノリをする人達じゃなかった。  ちょっと混乱していると2階からドタドタっという音と共に妹がリビングにやってきた。小指を確認すると同じように赤い糸が。    「お前さ、その指……」  「あ? 話しかけんな、キモい」  「……」  そうだった。絶賛超絶反抗期だったよ、コイツ。無性に気になったけど、彼女に問いかけたところで、どこで覚えてきたかも分からない無慈悲な罵詈雑言を浴びせてきて、きっと俺のか弱いピュアハートは粉々に砕け散ってしまうだろうから、俺は黙って飯を掻き込んでさっさと家を出た。
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