ため息

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ため息

「……はあ」 学校からの帰り道、僕は思わずため息をついた。 僕は田村芳斗(たむらよしと)、小学3年生。 昔から気が弱いせいか、いじめられていた。 ───それでも、それだけなら僕は耐えられたんだ。 一ヶ月前、両親が大ゲンカをした。 お父さんが、お家のお金でこっそりパチンコに行ってたんだって。 そのままケンカは深刻になり、両親は離婚。 僕は、父さんに引きとられることに決まった。 それから、父さんはストレス発散のためか、 お酒を飲んで遊び歩くようになってしまった。 ご飯は、大体コンビニのおにぎりかお弁当。 家には誰もいない。学校に行ってもいじめられる。 そんな毎日が続いている。 ふとした瞬間に、とっても優しかった母さんの顔、 母さんが焼いてくれた僕の大好物、クッキーの味が蘇って来る。 ──僕には母さんがいるじゃないか! いつか母さんに会える、そう信じて、毎日何とか頑張っているんだ。
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