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翌朝、富蔵を起しに奥間の外を訪れた下男は、いつまでも反応のない主人に首を傾げた。富蔵が病を患ってから、起こす際は必ず部屋の外からで、決して中には入ってはならないと言われている。
しかし起きない主人をそのまま放置したとなれば、それも下男の責任だ。
下男は意を決すると奥間の障子を開く。
室内には…確かに誰かがそこにいた膨らみだけを残した布団と…その布団から下男がいる廊下側までぐっしょりと濡れた畳があるだけだった。
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