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夏休み前の最後の登校日。
落ち着きのない教室が
より一層騒がしくなっている。
そんな中で担任の先生が
必死に声を張り、
児童達の注目を集める。
「夏休みは何か1つテーマを決めて
日記を書いてきて下さい。
例えば、植物の観察日記や
星座の記録。」
「先生、食べたものを記録する
でもいいですか。」
そう言って笑いをとったのは、
クラスで1番体格のいい
大神君だった。
「食事記録でもいいわよ。
自分で料理をしたら、はなまるね。」
俺はカブトムシにするから、
みんな真似するなよ。
じゃあ、俺はクワガタもらったぜ。
かなちゃん、何にする。
お花の絵日記。一緒にやろうよ。
私は絵が上手くないもん。
そしたら、お菓子作りがいいよ。
またえりちゃんのお菓子食べたいな。
夢を語るかのように、
口々にテーマを挙げていく。
康介はその論争に加わることなく、
静かにテーマ名と書かれた枠を
見つめていた。
そして、記したものは
「僕とランドセルの冒険記」だった。
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