第3話

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ところで・・  私たちが音だししている間、スマホでの映像を拡大スクリーンを通して、今までのトレッキング活動の様子を観ようとしていたのだけど・・ 日中では光の量が多すぎて、画面がとても見づらい!! いろいろ試してみたのだけど、結局は映像は中止となり、簡単な報告会の後で、私たちの演奏をすることになった。 あ、火床は75台あって、それぞれが山の斜面に石段のように並べられている。 私たちが今いるのは、大の字の一画めの書き終わり辺りに位置するところ。 アキさんは、サイレントチェロをバッテリーで起動するアンプとスピーカーに繋いで、トレッキング用の簡易椅子に座ってスタンバイしていた。 私は、ユウカとアマネちゃん、と目配せをして、ちょっとうつむき加減のハザクラくんに、 「始めよっか。」 と言って、演奏を開始した。 そこでまず演奏したのは、 フォーレのラシーヌの雅歌。 この曲は、小ミサ曲を思わせるような、とても優しい曲だ。 アマネちゃんが奏でる流れるような穏やかな3連符に合わせて、アキさんのチェロの低音部の伴奏が入り、ハザクラくんのオーボエのメロディから、ハザクラくんとユウカのデュオに加えて、私が入れ替わり立ち替わりでハーモニーを作る。 山肌での演奏だけに、風が強く音がかなり拡散していたけど、それでも風に溶け込んでいく感じがとっても心地よかった。
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