第3話

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ヒメノ先生が唐突に、 「お前たち、もうわかっていると思うが、今回の演奏会は、レッサーパンダ舎のそばで行う。 つまり、レッサーパンダにも聴いてもらうわけだな。 動物園において、一番かわいいのはもちろんペンギンだが、その次くらいにあれはかわいい。 私は、レッサーパンダがすごく好きだ。 あの内股ぎみでのそのそ歩く姿、あの長いしましまの尻尾。 たまらなくかわいい。 お前たちは、何が好きだ?」 ユウカは、 「白フクロウ!!あのふくふくした感じがかわいい!!」 と、ユウカが躊躇いなく元気に言った。 うん。 確かにかわいい。 日中に見た時の、あのちょっと眠そうな目がまたいい。 アマネちゃんは、 「ライオンやヒョウやトラかなぁ。 ネコ科の動物ってかわいいよね!!」 とそう言うと、ハザクラくんは、ウンウンと頷いていた。 ハザクラくんは 「僕も、ネコ科の動物好きだよ。」 と言っていた。 アキさんは 「私は、ナマケモノかな?あの何にも考えてなさそうなんだけど、実際にはとても繊細そうなところが好きかな。」 なるほど、なんだかそう言う視点で見ている辺りがアキさんらしいと思ってしまう。 私は、 「エミューだねやっぱり。」 そう言ったんだけど・・ あれ? なんでみんな無言なの? 私はあの長い足と鋭い目線をみていると、なんだかすごくカッコいいって思うんだよね。それに、進化の過程で、走ることに特化して飛ぶことをやめた辺りとかもカッコいいって思うんだけど・・。 今日は不在だけど、ここにムツキ先生がいたら、絶対に、『ツシマヤマネコだね。』と言うに違いない。 と言うか、みんな若干、動物カテゴリがバラバラだと思いつつもね。 「そうだな。 大好きな動物って、自分の憧れを反映しているところもあるからな。」 そう言って、ヒメノ先生はにっこりと笑った。 ・・そうか・・ 私はエミューに憧れているのか・・ あの鋭い目力は、なかなか身に付けられそうにはないからね・・。 でも、あの迫力があれば、私はもっとちゃんと出来るかも。 ・・なんて考えてると、 「リンコ、そんなことで悩まない! あんたはそのままで良いのよ。」 と、ユウカが私の頭をぐしぐしと撫でる。 さすがユウカ、私の気持ちがよくわかってる。
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