第3話

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・・なにこれ・・ この澄んだ音・・。 ムツキ先生の音、男性の音とは思えないほどクリアだ。 そして、田崎さんとタイミングを合わせて演奏が始まった。 曲はイベールの間奏曲。 作曲家のイベールはフランス人で、キレイだけど表現が難しい曲をいくつも書いている。 この間奏曲は、その名前から想像すると前後に曲がありそうだけど、それらがあるわけではなく、これ単体で独立した曲だ。 スペインのフラメンコを思わせるような曲で、どこか物憂げなんだけど、テンポが早く、洒脱でいながらも、とても刺激的で美しい曲だ。 そして、ぶっつけ本番とは思えないほどギターとの息が合っていた。 それなのに、ムツキ先生のテクニックは完璧だった。 これがプロの実力なのか。 凄く心に響く音だ。
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