第4話

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 下校時に、 「リンコ、何があったの?」 そう聞くと、リンコは一瞬息をのみ込んで、私の顔を確かめるようにほんの少しだけ見つめて、そしてうつむいた。 とぼとぼと歩いて、自転車置場で、リンコはお気に入りの赤色の自転車を出したけど・・ 「ユウカ・・・・ 私・・クレハおばあちゃんの家に帰りたくない・・。」 と、そう言ったのだった。 これは、絶対に良くない何かが起きた・・ 「・・どうしたの?」 と、なるべく穏やかに聞いたところ、 「・・お父さんが・・。 玄関先に来ただけで、直接は会っていないんだけど・・ ・・お父さんが昨日おばあちゃんの家に来たの・・。」 そう、凄く暗く青い顔で言った。 私は、その言葉を聞いた途端に、言葉を失った。 こんな形で予想が的中しても、全然嬉しくも何ともない。 さらに、 「私たちの活動を、どこかで聞き付けて、私に会いたくなったって言ってくれてるんだけどね・・。 でも、私は全然嬉しくないの。」 そして、死んだ魚のような目で、無理に笑って、 「・・あ、でも、きっと心配してくれてるんだよね。 ・・でも、何で今さら私に会いたいなんて言うんだろうね・・」 そう、精一杯のでリンコは言った。 リンコ・・そんなことを、そんな辛い笑顔で言わなくてもいいんだよ・・。 そんなことは、 そんな顔をして、言う言葉じゃない。 あんな音を出して言う言葉じゃない・・。 リンコにこんな表情をさせることが、私には許せない。 許せない・・! 親だからなんだって言うの? リンコを捨てた親が、何を今さらなの??
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