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「リンコ、今日は私のうちに泊まりなよ。
リンコのおばあちゃんには私から言ってあげるから。」
そう言ったんだけど、しばらくの沈黙の後で、
「・・ううん。
紅葉おばあちゃんに申し訳ないから・・」
と、元気なく言った。
また、沈黙があり、リンコは俯いたままだった。
永遠に続くかと思えるほどの重い沈黙の後で、私は、
「じゃあ、せめて今日は自転車を押してさ、一緒に帰ろう?
私、リンコの家まで送るよ。」
そう言うと、少しだけ顔を上げて、とてもか細い声で、
「うん。一緒に・・」
とだけ言った。
自転車を押して、ほとんど会話の無いまま2人でとぼとぼと歩きながら、私はリンコの親について考えを巡らせていた。
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