第4話

9/36
前へ
/325ページ
次へ
 そのまましばらく歩いて、リンコの家に着いた。 リンコ自身は、遠慮なのか心理的な壁なのかは判らないけど、未だにここを『おばあちゃんの家』と言う。 いつかその壁を越えることが出来るのだろうか・・ リンコの住む家は、昔ながらの和風建築で、その表札には、小山の姓の下に、亡くなったリンコのおじいちゃんの名前の横に、紅葉(クレハ)の名前が書いてありその横には、楓原凛子と書いてある。 玄関を開けて、リンコが元気なく、 「・・ただいま・・」 と言うと、おばあちゃんが 「おかえりなさい。」 と、穏やかな笑顔で言った。 おばあちゃんと言うには、まだ若すぎる気もする。 クレハおばあちゃんは、 「あら、優花(ユウカ)ちゃん。 よかったら、あがっていって?」 と、そう言い、私を居間に招き入れてくれた。
/325ページ

最初のコメントを投稿しよう!

38人が本棚に入れています
本棚に追加