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それから、リンコには『また明日ね』と言って、リンコのおばあちゃんの家を後にした。
もう、なにがなんだか、私にはわからなくなっていた。
ただ、帰り道、ちょっと寒くなって、暖かいものを飲もうと思って、コンビニのヘブンイレブンに寄った。
レジでお金を払って、レジ横のコーヒーメーカーで、ホットミルクのボタンを押し、カップに注がれるミルクを見ている時だった。
「橘さん、ですよね。」
背後からそう言われて、振り替えると、まだレジを通す前の雑誌と缶コーヒーを手に持ったスーツ姿の男の人がそこにいた。
この声、さっきリンコのおばあちゃんの家で話していた人の声。
・・リンコの父親だ・・
「あ、はい・・」
そう言って、コーヒーメーカーからカップを取り出して、そそくさとその場を去ろうとした時に、
「先ほどは、カッコ悪いところを見せてしまいましたね。」
あなたにとって、それはカッコ悪いの一言で片付くかもしれないけど、リンコにとっては、とても大変な問題なのに・・
「・・はい・・」
そう言うと、
「ちょっと、すみません。
ほんの少しだけ、お時間いただけないでしょうか。」
と、私に対して深々と頭を下げて言った。
その時の私には、正直に言って不快感しかなかった。
でも、それでも、私の大切な親友のリンコの父親には変わりがない。
だから、
「はい。少しだけなら・・。」
そう言って、コンビニのイートインコーナー
のカウンターテーブルに座った。
・・まぁ、成り行きで当然なのだろうけど、リンコの父親は私の右隣に座った。
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