第4話

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リンコの父親は、 「橘さん、凛子と仲良くしてくれてありがとう。 いつだったかのトロッコ列車での演奏の新聞記事を見て、それから、この前の勧業館での演奏を聴いて、それでどうしても会いたくなってね。」 そう言って、作り笑いを浮かべていた。 私には、大人の事情なんてわからない。 ただ、リンコが心配なだけだ。 「もう僕は、凛子(リンコ)の元には戻れない。 凛子(リンコ)には辛い思いをさせた。 でも、それも全て僕が招いたことで、僕が凛子に選ばせてしまった道だ。 これは僕が選んだ僕の事情だ。 それは大人の行動と言うには、あまりにも未熟なこともわかってる。 でも、それでも、どれだけ僕自身が無様でも、それは仕方のないことなんだ。」 ・・そんなの知らない。 そんなことを、リンコと同じ歳で、リンコの親友でもある私に言うことじゃない。 ・・あまりにも、自己憐憫が過ぎる・・
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