「しようよ」

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目をうっすらとあけると、部屋の中は薄暗かった。 閉じていてもいつも光が差し込んでくる、南窓のカーテンの向こう側も、薄暗い。 かわりに部屋の中には、シャーシャーという音が絶えず流れ込んでいた。 昨日からの雨はまだ降り続いてるようだった。 寝返るようにベッドの上の体を横に向け、テレビ台に置いてあるデジタル時計を睨む。 午後1時を少し過ぎたところだった。 今朝は何時頃寝たんだっけ……。 考えるとあくびが勝手に出た。     「何時?」 背中から、彼女が聞いてきた。 「うーんと、昼の1時くらい」 「えー、もうそんな時間なんだ」 ふあぁぁぁ……と、彼女。 「せっかくの日曜日も、半分終わったね」 「寝たのが明け方やったから仕方ないよ」 「そうやね」 背中の後ろから,彼女が肩に手をかけてきた。 「ねぇ」 「なに?」 「今日、どうする?」 雨音が激しくなる。 梅雨の時期は、短時間のうちに雨が強くなったり弱くなったりと変化が激しい。 予定では、昼から彼女と電車に乗って買い物に行くことになっていた。 「うーん、どうしようかな。雨、けっこう降ってるみたいやし」 「そうね。出かけたくないかも」 「なら、やめとく?」 「そうやね。やめとこかな」 ふぁぁぁ……と、僕。 出かける必要がないことがわかると、また眠たくなってきた。 体もどこかだるい。 まぶたがゆっくりと降りてきた。     「じゃあさ……しようよ」
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