場面三 柔らかな心の芯(四)

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場面三 柔らかな心の芯(四)

「………仁斎………!」  乳首から唇を離した仁斎が、胸元を啄みながら囁いた。 「(しん)から好き」  その真率な響きに、胸が疼いた。  仁斎――― 「おおきに。うちはずっと、こないしてあんたはんに触れたかった」  男の最も弱い部分を責める指と、心のずっと奥にある、生まれたばかりの柔らかな芯を蕩かすような甘い囁き。 「ほんまにまっさらや」  唇に身も心も捕らえられ、何も判らなくなる。身体が勝手に快感を貪り、喘ぎとも、追い詰められた悲鳴ともつかぬ嬌声がひっきりなしに上がる。  もっと、追い詰めて。もっと。  声を上げてのけぞり、男の口中に放った瞬間、さすがにあっと思った。だが羞恥を感じる間もなく、指で後孔に触れられて、闇斎は息を呑んだ。指はそこを押し開き、慎重に侵入しようとする。 「………ん………っ………!」  喉の奥で呻いた。犯されたことはあっても、指を入れられたことはない。 「な、に………」 「息吐いて」  指が柔らかな果肉でも剥くように、丁寧に注意深く動くのが判る。 「何、し………っ、あっ………!」 「何て」  仁斎は逆に戸惑ったようだった。 「ほんまにやめよか………? あかんのやったら」 「そ、うやのうて、そないなとこ………触っ、何や、変………」 「闇斎はん」  指が動きを止めた。 「あんた、慣らされたことないん」  仁斎は唖然とした声で言った。 「ならす………?」 「こない狭いところに、いきなり入れる法あらへんやろ。そないな無茶―――」  そこまで言って、仁斎は黙り込む。 「あんたはん………」  ぽつりと呟いた。指が抜き去られ、緊張が解けた闇斎はほっと息をついたが、それでも、仁斎の反応が何だか不安で。 「仁斎―――?」 「そんなら………うちも、そないすると思うてたん」
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