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私は地元の専門学校に進学し、今は保育士として幼稚園に勤務している。大した出会いもなく子供達と戯れて一日が終わる、そんな単調な毎日を送っていた。
かたや心太は、北海道の大学に進学し地元を離れた。
心太の送別会の夜を、今でも鮮明に覚えている。
絶対に後悔を残したくなかった私は、カラオケの帰りにもう一度心太に告白をした。
そう、二人の交際の始まりは、私の勇気ある告白がきっかけだった。でも、一度目の告白より二度目の方が数倍勇気が必要だった。それは、きっと、自分に自信がなかったせいだと思う。
でも、告白せずにはいられなかった。
「心太がやっぱり好き…
私は遠距離で全然構わないから、またつき合いたい…」
私の告白に心太はただ黙っているだけだった。黙ったまま私を家まで送り、さようならと一言だけ残し、翌日北海道へ旅立った。
あれから四年が経ち、一体このLINEの意味は何なのか…
七月七日…?
天の川…?
待っている…?
心太から受け取ったメッセージはたったのこれだけで、これにはきっと深い意味が隠されているに違いない。
私は封印していた心太との思い出の箱を、四年ぶりに開けてみた。思い出の箱とは自分がそう名付けただけで、100均で買ったただのクリアボックスだ。
その中には二人で撮ったプリクラのシールやデートで行った映画の半券、授業中にやり取りしたメモのような小さな手紙などが入っていた。
野球少年だった高校時代の心太の日に妬けた顔を久しぶりに見て、私の心は懐かしさでときめきが止まらない。
好きだよとか愛してるとか、恥ずかしげもなく書かれた小さなメモは、あの頃の一途な気持ちを甦らせた。
でも、あの一文の手がかりは何も見つからない…
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