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写真を撮り終えた後、私がキョトンとしていると心太は照れながら本当の事を話してくれた。
「このたっくんは俺の義理の弟なんだ。
俺の親が離婚して俺は父さんについていった。
しばらくして、父さんは再婚して今の母さんの連れ子がたっくんで、俺達は兄弟になったってわけ」
「で、でも、心太は北海道から全然実家に帰って来ないって皆が言ってて、新しいお母さんと上手くいってないのかもって風の噂で聞いた…」
こんな偶然の再会に、この情報は話さなくてもいい。頭では分かっていても、動揺している口元は勝手に動いてしまう。
「風の噂だろ?
そんな事ないよ、たっくん、マジで可愛いし」
私はまだ何もかもが半信半疑だった。
「なんでここにいるの…?」
心太は怒ったふりをして私の顔を覗きこんだ。
「俺のLINE見ただろ」
「…うん」
この夢のような現実が、五分後に消えてしまいそうで怖い。
「天の川で待ってるって書いてあっただろ?」
「…うん」
私と心太の後ろには子供達が描いた大きな天の川が広がっている。
「たっくんに幼稚園の話を聞いてたら、美緒先生が美緒だって分かった。
七夕会で大きな天の川を描いて、その前で皆でお遊戯をするって」
私は今さらながら、ポロシャツにジャージという姿を恥ずかしく思った。
「美緒に会いたいって思ったんだ。
だから、会いに来た…」
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