act5

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act5

何もない部屋、テーブルの上に紙袋を置き、部屋を見回した。 ドアを開ける、ふろ、トイレ、洗面台、二本の歯ブラシが並ぶ。ふと洗面台の鏡が汚れているのを見た、何かを塗った後、鏡を見たくないような異様な感じがした。 キッチン、そうか、刃物がないのか、だから弁当。 ベッドの横のテーブルにノートパソコンと、数冊の雑誌。 ベッドに寝た。 「まだ七時か」 近くにあった雑誌に手を伸ばす。 「あーあ、ねみ」 男は雑誌を頭にかぶったまま眠ってしまった。 ガチャ、ガチャ 「ん?開いてる?」 ガチャ 部屋には明りがついている、男物の靴、静かに中に入るとテーブルの上に紙袋、中をのぞく、見覚えのある入れ物、椅子にはジャケットが掛けてあり黒い大きなカバンがある。 ベッドに誰か寝てる、伸び上がってみる、男?部屋を出ようとカバンを持ち、靴を履いた 「お帰り」 「いってきます」 「待てよ、帰ってきたんだろ」 「なんであんたがいるのよ」 「ママさんがよこした、それ弁当、ハーよく寝た」 背伸びをする男、女は靴を脱いで冷蔵庫に向かった。カバンから煙草をだし一本咥えると冷蔵庫の中からビールを出しテーブルに置いた、上に置いたダイレクトメールの中から封筒を取りカバンに入れた。男はトイレに行った。カバンを置き、イヤホンを外し、帽子を取った。イスに深く座ると煙草に火をつけた。 「ねえ、俺ももらっていい?」 「どうぞ」 ビールを一本取ると開けながら向かい合わせに座る。女はくわえたばこのまま、弁当を並べ始めた。 「へーうまそ」「食べる?」 「じゃ遠慮なく」 割りばしと小皿、茶碗を出す 「なあ、ママさんて料理人?」 「まあね、ご飯、食べてくれる?」 少し茶碗にとって、弁当箱を差し出した。小皿には卵焼きや煮物を少しずつとり弁当箱の方を男に差し出す。 「五目御飯だ、インスタントかな」 「そりゃそうよ、忙しいんだもの、でも具は、足してあるのよね、ゴボウいっぱいだし」 「ふーん」 フー 「食べるときぐらいやめたら」 「あ、ごめん」 すぐに火を消した 「素直じゃん、食わねーの?」 「食べる、いただきます」 「あのさ」「なんで」 「あっ」「あっ」 「どうぞ、何?」 「あ、いや、明日さ、俺休みなんだけど、みおは休み?」 「仕事」 「じゃあ、明後日日曜は?」 「仕事」 「ふーん、休みって平日?」 少しとっては口の中でずっと噛む、それをビールで流し込む 「・・・」 「ウソつかなくていいじゃん、あの日、土曜日だったんだぜ」 「・・・」 「泊まっていこっかな?」 「何言ってるの、食べたら帰れ!」 「別にいいじゃん、何もしないからさ」 「それには乗らない」 「へー、ママさんならいいんだ」 「女だもの」 「体は男だろ?」 カーッとした、腹が立った、ひっぱたこうとして腕が伸びた。尽かさずその腕を取った。 「へん、もう叩かれないもん、はー、食った食った、もう一本もらうね」 ビールを二本だして、一本を目の前に置いた。煙草に手を伸ばすと一本取った。 カッチッ。ふー 「あの、食べてるんですけど」 「俺、終わったし」 「フン」 男はビールと煙草を持ってベッドの方へ行った 「ねえ、テレビ無いの、パソコン見ていい?ネット出来る?」 男はパソコンを開けた 「勝手に触るな!って、もう起動させてんじゃん」 起動終了の音楽が流れる。 「だってさ、立ち上げ、時間かかるじゃん」 「インターネット以外見ないで」 「へーい、ねえ、台風来てるよ、泊まって云っちゃダメ」 「雨降る前にさっさと帰って」 三分の一ぐらい食べた、残ったのをごみ袋に入れ始めた。 男はそれを見ながら思った。 (拒食症か、でも少しでも食ったんならいいのか) 弁当箱を洗いふきんでふくとテーブルに並べた。小さなチェストから、タオルやシャツを出して風呂へ向かう。 「お、風呂、俺も入りてー」 「帰れ!」 バン 扉を思い切り閉める。風呂の蛇口を開けた。 ジャ―と水の出る音がする。 「つれないなー・・・あ、そうだ、ちょっと出て来るわ、ドア開けといて、弁当箱持って行くから」 紙袋に入れ、財布を持って外へ出ていった。 ドアの音出ていった、鍵をかけ、風呂に入った。 (年下だよね、子供?プー) 笑ってる自分がいた。
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