act5

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風呂から出てくると腕時計を見た。そろそろ一時間が経とうとしている。ビュウッと大きな音をたて廊下を風が通った。雨が降ってきた、窓から洗濯物を入れた。 ピンポン、ピンポンピンポン 「はいはい」 ガチャ 「もう降って来ちゃってさ、ずぶ濡れ」 ビシャビシャに濡れた男が立っている、女は中へ入れた。 「そのままお風呂行って、靴下脱いで、シャワー浴びて!」 「フフーン、やったね」 女は我に返る。 「まさか?」 「マッさかー、シャワー借りまーす」 (やっぱあいつ確信犯だ)女はバスケットを持って風呂場へ行った。 「開けるわよ、これに濡れたの入れて」 靴下を入れた入れ物の中にズボンやワイシャツが入ってくる。 「洗ってくれるの?」 「二時間もあればかわくでしょ、ズボン洗っていいの?」 「ウオッシャブル、洗ってくれ」 「まったくパンツまで濡れてんじゃん」 ピピッ 洗濯機を回しはじめた 「何着せよ、あ、Тシャツ、下はバスタオルでいいか」 ―タオルここ置くよ ―ありがと 「もう、参ったよ、ママさんに鍵返してさ、ちょっと話してたらさ降って来るんだもん、土砂降りだぜ」 「傘借りてくればよかったのに」 「だって、もう店でた後だもん・・・なにしてるの?」 「靴、濡れてたらダメになっちゃうでしょ」 タオルできれいに拭いている。ビニル袋を差し出す。 「これ何?」 「あ、ドンキ行って来たんだ、フフーン、パンツ」 (やっぱこいつ確信犯) バチン 「何、真っ暗、停電?」 「ちょっと動くなよ」 ライターで明かりをともす。窓を開けた 「表、真っ暗だ」 「ちょっと、ライター貸して」 女は流しの下から何やら取り出して火をつけた。ろうそくの火がゆらゆらと揺れる。それを持って奥からまたろうそくを出した。 テーブルの上に大きな非常用のろうそく三本に火をつけた。 「結構明るいもんだな」 「トイレとか行く時困るから」 ビュー―― 「風でて来たな、少し寒くない?」 「布団にくるまれば、暖房もないから」 「ヤッター、泊まり決定!」 男はベッドに腰掛け布団にくるまった。 「あれ、ガスつかない、仕方ないな」 又流しの下から何か出した。 ガチッ、ボッ ガスコンロを出し、ケトルに水を入れ沸かしはじめた。棚からビンを出し、何かをコップに入れお湯を注いでいる。 「何作ってるの?」 「焼酎、お湯割り」 「俺もほしい」 「レモンは?」 「入れてください」 カラカラとマドラーの音がする、女はコップを二つ持ってきた。一つをそばのテーブルに置く。 「はいどうぞ」 「うーあったまる、あのさ、みお今いくつ?」 ろうそくとたばこをもってきてパソコンの前に座る 「あー、えーと、来月で二十三だ」 「俺のいっこしたか」 「ウソ、上なの、年下に見えた」 「オレ童顔」 「・・・つかないね、電気」 「そんな直ぐつかねえだろ、台風だぜ」 煙草をくわえローソクの火をつけた。 「俺も一本」 男も煙草を吸い始めた。
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