act6

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act6

「重い、なにこれ?」 目を開ける、男が抱きついて寝ている。 (トイレ行きたいな―もう) 「ん、おはよ」 チュッ、頬にキスした。 「ごめん、重い、トイレ」 女から離れる 「お、電気ついてるじゃん、パソコンも、入った、八時か、よく寝たな」 女が出てきた、尽かさず立ち上がりようを足した。 「寒いな」 「ちょっとエアコンつけよっか」 「へー、停電、点いたの三時過ぎだってよ、電車も止まってたって、よかった―ここ泊まれて」 台所で片づけをして、手を拭くと冷蔵庫からビールを取り出す 「おい、朝っぱらから開けんのかよ」 「別にいいじゃん」 ゴック 「やっぱ、今日休みだろ」 風呂場からズボンを持ってくるとエアコンの下にハンガーにかけて干した。 「あのさ、あんた何してる人?」 「健二!」 「へっ?」 「あんたじゃない、健二!」 「別に名前じゃなくてもいいじゃん」 ビール片手に洗濯機のスイッチを入れ直した。 「俺、公務員、都庁に勤めてる、みおは?」 「私、清掃員、ビルの、公務員か、いいね土日休みで」 「そうか、どこ行っても人いっぱいで嫌な時あるけど、お、かわいた」 男はズボンを履き、カバンを開け財布を出した。ジャラジャラと財布の中身を出す 「ワー、ちょっと足りねえ、みお、お金貸して、百二十円」 「なにするの・・・」 渋渋、財布を開けると小銭を渡した。 「倍返し」 ごめんと小さな声で言った。 「ちょっと出てくる、傘借りるね、サンダル貸して」 男は出ていった、カギをかけると、部屋の中を片付け、歯を磨き、顔を洗い、パジャマを着替えた。 ガチャガチャ 扉を開ける音がする。 「ん?」 「ただいまー」 「何、ママに鍵返したんでしょ?」 「うん、合いカギ作っちゃった」 「バ、バカ、返しなさいよ!」 追いかけまわす。 「いやだよーん」 「もう!」 イスに座った。 「アルコールまわったんだろ、朝っぱらから飲むからだよ」 「・・・」 「ねえ、ハンガーある、洗濯機止まるよ」 「ん、部屋干しする」 男は洗濯機を開ける 「へへーん、みおのパンツ発見」 取り出して見せる。 「イヤー、返せー」 「一緒に洗ったのか、どれに干す」 「わたしやる」 「二人でやったら早いだろ、へーこれなに」 白い小さなネットのファスナーを引っ張る。 「あけるな!」 「へーブラってこうやって洗うんだ」 「もう」 しゃがみ込む女の横からハンガーを取り出しシャツをかける。女は洗濯ハンガーに小物をかけ始めた。 「いい眺めだねぇ、みおのブラとショーツ、俺の靴下とパンツ」 「ばっかじゃないの」 パン、パン、パン 「何で叩くの?」 「アイロン無いから」 「あそ」 洗濯機を覗き込み中にないのを確認してハンガーを片付けた。 「出かけるぞ」 「さようなら」 パソコンの前に座り手を振った。 「ほら、支度しろ」 腕を取った 「なんでよ」 「デートだよ、デート、あっ」 急に何かを思い出したかのように静かに言う 「出かけられますか?」 「何よ急に」 へへへ 「かねなかったんだ、電車賃お願いできますか、俺、定期あるから」 「はー?どこまでよ」 「目白」
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