13人が本棚に入れています
本棚に追加
/36ページ
act2
ワゴン車、新人のヒロちゃんが運転手。
「じゃ、何、この中で運転できるの、後、ミーちゃんだけ、じゃ、帰りも私、えー、いやだー。ミーちゃん、帰り頼める?」
「ん、オートマだもんね、ゆっくりでもいい?それだったらいいよ、久しぶりだから運転」
「どれくらい?」
「半年ぐらいかな、ねえ、もう少ししたら変わって少し慣らしたい」
「じゃ、そこのコンビニでかわろ」
「ワー、久しぶり、エンジンは、キーレスだ、すごい、軽しか乗ったことないから、やっぱり大きいね」
「じゃ、後ろいるから、何かあったら言って」
「うん」
「出発進行ー」
昼に出て、夕方には着く予定、新人のヒロちゃんはきれいな男の子、ちょっと化粧をするだけで女の子。トシちゃん、性同一性障害、気さくな子、相談事はこの子がいい口が堅い、大学まで行った頭のいい子、アルバイトから社員になった。まさみちゃん、ゲイ、マッチョな子、心は一番きれい、ママの次に心配してくれる。ちょっと軽いかな。淳子ちゃんママと同い年、ちょっとおばさんぽい、そしてママ、五十前、淳子ちゃんよりずーっと若く見える、私の恩人。
「やっぱり、夜の蝶は夜よね」
「そうじゃなきゃ、私たちの魅力わかんないじゃない」
そんな女子みたいな会話が続く。
「ヒロちゃん、高速入ったよ、どっちに移たらいい?」
「右、ずーっと右にいて」
「わかった」
「うまいじゃない、ミーちゃん、降りたら、変わるは」
「はーい」
―良かったわね、あの子連れてきて
ーでも今日の格好、モロ、男の子よね
そういわれた女の格好、刈り上げにした頭には黒い帽子、すっぴん、だぼっとした白いシャツにジーンズ姿、薄い色のサングラスは少年のような顔つきにする。
―あの子は男が嫌いなの
ーえーじゃ、私たちも?
「好きよ、トシちゃん、また今度、お買い物行きましょ」
「ワー、お願い、ミーちゃんセンスいいのよね」
「ほんと、私も行きたーい、つれてってー」
「大きいサイズってなかなかないからさ、ホント助かっちゃう」
「見て見て、これ、ミーちゃんに選んでもらったの」
女性用の下着、透け透けのレースがいっぱいのショーツにレースのシャツ。
「かわいい、このシャツ、どこで買ったの?」
「アウトレットよ、この間出来た」
「ウッソーン、いやだー、私も行きたい」
そんな話が永遠続く
「ねえ、そろそろだけど、どこで変わる?」
「そうね、お姉さんたち、トイレは?」
「行こうかしら」「じゃあさこの先のコンビニ止めて」
「バック、怖いから、頭から入るね」
「うん、お願い」
「ヤッター、何とかついた」
「いや~ん、ミーちゃん、かわいい、やればできる子ね」
「そう、ありがと、ねえ、吸ってもいい?」
「いいわよ、お疲れ様」
煙草に火をつけようとした。窓を開ける。
「ねえ、海の匂いしない?」
「見て、向こう、海よ、海」
―ワー夕焼け、きれい
コンビニの駐車場からはきれいな夕日が見えた
「ねえ、外、並んで、取ってあげる」
スマホを取り出し、みんなを撮った。夕日と、少し見える海をバックに入れて。
「送って、きれい、ミーちゃんさすがね」
「私も」「いやん、私にも」
「ねえ、ママ、一緒に取ろ」
「いいわね」
「イエーイ」
久しぶりの笑顔は、ママとのツーショットに納まった。
―ついたー
―海よ―みんなー
始めは、久しぶりの景色にみんな興奮していたが、だんだん、暗くなると車の方へ戻ってきた。
「ナンパする?」
「これからの時間、アベックばっかりでいいのなんか探せないわよ」
「えー、そんなのつまんないー」
「あそこ行けば?」
女は海の家を指さした。
「アルバイトとかさ、ひっかけちゃえば?」
「それいい、ミーちゃん、いこ」
「私、いい、これ、飲んでる」
コンビニで買ったビールを差し出す。
「そう?じゃ、私たちだけで行きましょ」
「後でおいでね」
「うん」
最初のコメントを投稿しよう!