act2

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「君、女の子だよね?」 ビールを取った男が寄ってきた。横を向く。 短くなった煙草を消し、新しいのを咥え火をつけた。 「あっ」 口から煙草を奪い取った。 「何すんだよ、てめー」 こいつ何もんだ、今吸っていたのを吸いだした。人と関わりたくない、男はもっと嫌だった、腹が立つ。 また新しいのを咥えた。火をつけようとした。 横から手が伸びてそれを奪われた。 ムッ 「あのさ、ナンパなら他でしな、それやるからさ、あっち行って」 ビールに手をかけ飲もうとしたのもとられそうになり、ぐっと力が入った。 バッシャーン 思い切りビールをかぶった。 「てめー、なにするんだ!」 胸ぐらをつかんだ、男はしれっとしてじっと女を見ている。 「何やってるの!アーあ、汚しちゃって、すみません、何か拭く物あります?」 オカマ達が集まった。女は睨んだまま、男を離した。 その辺にある物で、女や、床を拭く。 「あんたもさ、あきらめてあっち行きなさいよ」 「いやーね、男のくせに」 一緒に飲んでいた男たちが走り出した。 「あーあ、逃げちゃった」 男は立ち上がると頭を下げた。 「すみません、お詫びに、みなさんをいいところへお連れしますよ」 店の子たちは目を輝かせた。 「ママ、行きましょうよ、せっかくなんだから」 「でも・・・」 「車は、朝でもいいんでしょ?」 「行きましょう」 男はママの腕をつかんだ、女はすがるような顔をしたが、あきらめたのがわかった。 「ヒロちゃん、車のキー貸して、みんなで行ってきなよ」 「そう、大丈夫?」 「ん」 男がみんなを連れて行った、心なしかほっとした。 「缶ビールあります?」 「あるよ」 「二本ください、ごめんなさい、汚しちゃって」 「構わないよ、事故だもんな、はい」 「ありがとう」 煙草を出した、中はあと一本 「すみません、この辺に煙草売ってるところはありますか?」 「あるけど、売り切れてると思うよ、ハイライトでいいんならあるけど」 「それでいいです、一つください」 女はビール二本と煙草を手に駐車場へと向かった。 ピピッ ガラッ ワゴン車の後部座席一歩足をかけた。 ドン 後ろから押される。 バン‼ガチャ 「何しやがる!」 手を振りかざした。 パシッ 「やっぱり、女の子だ」 腕をつかむと、帽子を取り前髪をかき上げられた。ママたちを連れだした男が乗り込んでいる。 また、いやな過去が頭を駆け巡った。 諦めた。 体を差し出していたら、何事もなく解放される 「手、離して」 男は手を離す、缶ビールを拾い、ホルダーに入れ、座席に座った、男は隣の席に座る、煙草のラップを外し、一本取りだす。 「吸っていい?」 「どうぞ」 (こいつ、何がしたいんだ) ずっとこっちを見ている。 目線をそらす 「あのさ、エンジン賭けたいんだ、窓、開けたいし」 「じゃあ。キー貸して、かけてあげる」 「この車、キーレス」 「へー、じゃ、かけるよ」 男は前の席に行くとエンジンをかけた、女は窓を少し開けた、男も運転席の窓を少し開けエンジンを切り、又後ろへ来た。 プシュッ 「ビール、好きだね」 ゴックッ。フーッ 「タバコ、似合わないね」 「・・・」 「・・・」 沈黙は嫌いだ、でも男はもっと嫌いだ、だけど、今は、かったるい、たぶん、このまま、犯されて終わり、我慢すれば、この場は収まる、腹立たしいのと怖さが入り混じる、手が震えているのがわかる。 煙草のフィルターが焦げるにおいがして、缶に押し当てた。 「もったいねぇ」 黒くなったところを指で拭い、そのまま飲んだ。男がビールを奪うとそれを飲んだ ゴクッ、ゴクッ ビールをまた取られて、男の顔を見た。にやりと笑ったように見えた。 ビールを口に含み、口に押し付けてきた、生ぬるいビールが口の中に入ってくる、口の脇からこぼれたビールを拭うように舌をはわせてきた。 (やっぱり・・・) 「ねえ、抵抗しないの?」 「!・・・」 「そっか、ねえ、何か書くものある?」 店の子が置いて行ったカバンから名刺を取り出した。 「へー、ここで働いてるんだ」 (勝手に思ってろ) 「もう一枚くれる?」 もう一枚出した。 「ちょっと待ってて」 外に出た、ドアをロックした。 (フー助かった) トントン 窓越しに、男が名刺を返してきた。 「メルアド、TEL、よろしく」 「・・・」 「ねえ、トイレ大丈夫?ママさんたち朝まで帰らないよ」 (くそっわかってるわよ) ガラッ 「へへ―、やっぱり出てきた、あれだけ飲んでればね」 「トイレ何処?」 「さあね、どこでしょ」 道路を見た、コンビニがある、ポケットに手を入れた。小銭が少しある。コンビニの方へ向かった。
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