act3

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女は火の付いたたばこを消すと新しいのを一本出し火を着けくわえた。冷蔵庫を開けお茶をしまうとビールを出した。 「飲む?」 「いいのか?」 「どうぞ、上がって」 ネクタイを外しカバンに入れた、シャツの一番上のボタンを外しながら入ってくる。 男はあたりを見回した。がらんとした部屋、女性の部屋というより男っぽい、もう空になったのか、又冷蔵庫を開ける。ビールとペットボトルのお茶しかはいってないようだ。 「飲まないの?」 「あ、いや、もらう」 「用事がないなら、飲んだらかえってよね」 男は向かい合わせの席に座った。ビールに手を伸ばし引き寄せた。 「やっと会えたんだ」 「・・・」 「一か月、あそこに通ってやっと会えたんだ」 「私は・・・会いたくなかった」 「ごめん、体の事・・・」 「別に、私、女じゃないから、何されても平気だし」 手が震える、煙草をもみ消した。又冷蔵庫へ手を伸ばす。 「店の子に聞いてきた、子供が出来ないって」 「そう・・・私の体は人形だもの、男が好きなように遊んで捨てられるだけのもの、だから・・・あそこは私の大事な処なの、もう、干渉しないで」 涙が出た。横を向いた。こんなわけもわからない男の前で泣いた。悔しかった。 また、煙草をくわえた。 「あのさ、俺と付き合ってくれませんか?」 「ハア?あんた何聞いてたの、私は」 「子供が出来ないだけだよね、それだけで女じゃないなんておかしいよ」 「何言ってるの、私は今まで、いやな思いしかないの、この先、生きててもしょうがないのわかる?」 「そんな事、子供だけが大事なのか?子供が出来なくても幸せになる権利はあるだろ」 「そんな事、男のかってよ!子供が出来なかったら捨てるのは簡単だもの、もう男はいらないの、私も好き勝手に生きたいの、だからごめんなさい、何も知りたくないし、憶えたくない、帰って、もう、ここには来ないで・・・」 「嫌だ、そんなこと言われるくらいなら、ここから動かない」 「何勝手なこと言ってるの、ここは私の城なの、何も知らない赤の他人が入ってきていい領域じゃないの、帰って」 女は電話をする 「ママ、お願い助けて」 涙が流れる。男に背を向けた。 「俺、あきらめないから、君の傷を消してやれるのは俺だけだから」 男は女を抱きしめた。 「みお、あきらめないで、幸せにしてやるから、すこしずつはじめよう、また来る」 「名前・・・」 「・・・」 バタン 扉の閉まる音がして振り返った。男は出ていった。 「わーぁ」 何が何だかわからなかった。悔しさ、腹が立つ、もしかして惹かれてる?ウソ、変な自分がいるような気がした、つらい、こんな気持ち、もう味わいたくなかった。 何でだろう・・・
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