雨乞いの乱

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 それからというもの、日照里村は晴れが三日に雨一日。作物次第で曇りを挟み、近隣に轟く大豊作が続きました。  もう誰にも、ひでり村などとは呼ばせません。  安定した天候を享受し、評判が評判を呼び、村の人口もみるみる内に増えました。  あの時、村代表を務めた面々はいずれも重役に収まり、充実した人生を謳歌しています。  お社も改築され、数倍の大きさになりました。  二度と村人たちが気軽に手など突っ込めないよう、しっかりとした門もついています。  土地神様があの日提示した条件は、村人たちの信仰を今一度改め、近隣の村々へ土地神様の威光を広めてほしいというものでした。  それにより、お祈りパワーが力が強化されれば、雨を止めるだけでなく、その先も安定した天候運用が可能だというのです。  勧誘の手口や語り口は、土地神様から直々にレクチャーがありました。なんなら、土地神様のご威光を少しばかり貸し出すことまでありました。  こうして屈強な営業マンと化した村人代表たちは、近隣の村を次々と攻略し、勢力を伸ばしていったのです。  この発展に目をつけた国主と、自身の担当地域からお祈りパワーを取られて怒った近隣の土地神たちが、徒党を組んでやってくることになるのですが、それはまた別のお話です。  何事もほどほどが一番。そうでなければ、村ひとつなどにおさまらず徹底的にやるべきでした。  生活水準が上がってしまった村人たちと、中途半端に一線を超えてしまった土地神様の運命や如何に。  めでたしめでたし、めでたかない。
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