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土地神様はあっけらかんとしたものでした。
そこには悪意も忖度も何もありません。
雨を降らせてほしいのが願い。だから降らせた。それだけです。
こうなると、いよいよ焦ったのは村人たちです。
話が違うから雨を止めてくれと頼みにきたのに、少なくとも土地神様の解釈としては、話は違っていなかったことになっているのです。
「あんた、元はご先祖なんだろ? 故郷の村を救ってくれ」
「だからそのために雨ちゃん頑張ったでしょって」
外のざんざん降りが嘘のようなからりとした答えに、村人たちは口をぽかんと開けるばかりです。
「あんたは、わしらの願いの力とやらで神様の地位にいるんでしょう? 村が全滅したら、あんたも困るだろうが」
「あっはっは。泣き落としの次は居直りか。たちが悪いね、お里が知れるよ! もう知れてたね! うちの子だったね!」
どうにか頭を回転させた村長が、渾身の脅しをかけてみてもこの調子です。
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