雨乞いの乱

4/6
前へ
/6ページ
次へ
 土地神様はあっけらかんとしたものでした。  そこには悪意も忖度も何もありません。  雨を降らせてほしいのが願い。だから降らせた。それだけです。  こうなると、いよいよ焦ったのは村人たちです。  話が違うから雨を止めてくれと頼みにきたのに、少なくとも土地神様の解釈としては、話は違っていなかったことになっているのです。 「あんた、元はご先祖なんだろ? 故郷の村を救ってくれ」 「だからそのために雨ちゃん頑張ったでしょって」  外のざんざん降りが嘘のようなからりとした答えに、村人たちは口をぽかんと開けるばかりです。 「あんたは、わしらの願いの力とやらで神様の地位にいるんでしょう? 村が全滅したら、あんたも困るだろうが」 「あっはっは。泣き落としの次は居直りか。たちが悪いね、お里が知れるよ! もう知れてたね! うちの子だったね!」  どうにか頭を回転させた村長が、渾身の脅しをかけてみてもこの調子です。
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加