通常運転

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私、小倉忠裕、42歳独身。 長い間恋人と呼べる人もいなく、猫の小次郎と一緒に暮らしてる。 私のそういった気持ちは歳とともに既に枯れていったのかと思っていた。性欲もほとんどない。 だが今、恋心を抱いてる。部下に。それも男性でひとまわり以上若い。自覚時には、この想いは隠さないといけないって強く決意したんだ。本当に。 ただいつも通り仕事が始まって。 私の欲目からそう見えてしまうのか、彼が今まで以上に可愛くて…仕方がない。 前もランチは一緒に行ってたが、最近は毎日といっていいほど食べている気がする。仕事の都合で食べれないとき、今日昼ラーメンです!なんて仕事以外のことで連絡が来るようになった。 彼ーー松下くんが家に泊まってから2ヶ月経とうとしている。何度かまた夜食べに行きましょうと誘われたが、丁重にお断りしている。 嫌な空気を作りたくないが、距離が近くなるのも避けたいのだ。 自分自身に多少のストレスが気づかぬうちにかかっていたのか、私は今朝から少し体のだるさに違和感を感じた。ああ、もしかしたら風邪かもしれない。 ただ今日は大事な会議があり席を外す訳にはいかない。来期からの人事移動や昇格等の決議会議だ。そう、松下くんを推しまくる、日。 風邪薬を家で飲み、出勤をする。 大丈夫、昨日までは何ともなかった。本格的に体調を崩すとしても、明日からだろう。 「おはようございます、小倉部長!」 「おはようございます、松下くん。今日も元気で何よりです。」 「おれ今日あのサンディの定番品、商談会なんです!昨日資料を再度一度見直して、原価計算を何パターンか用意したので確認お願いしたいのですが、お時間ありますか?」 「はい、わかりました。サンディ大手ですからね、私も同行してあげたら良かったですが。今までもスポットでは導入されたこともありますし、定番品としても可能性は充分あると思います。気合入りますね。」 最近は大手企業などを率先して営業している松下くん。彼が思う以上に、営業としての力はしっかり身についている。相手の要求に妥協せず食らいつき、お互いにとって好条件で進めていける策を考える力がある。そのひたむきな努力を継続している結果、彼が信頼できる営業マンだと評価され、それはうちの会社の評価に繋がっている。 今も、色々な場面を乗り越えた彼が、先に要求されるかもしれない仮説を立てて事前に動いている。それが出来ると、スムーズな商談となりバイヤーに好印象を与える。
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