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「やまない雨はないのよ。」
そんなはずはないと、疑った言葉。
だって現にあなたは、雨を降らしているではないか。
初めて、雨の巫女からかけられたその言葉を、自分は絶対に忘れることはないだろう。
「今回の御側付きはノエル。お前に任せよう。」
遂に自分にも回ってきたのか。周りにいる誰もは、一切表情を崩さない。
もちろん、この決定に反対するものもいるのかもしれないが、総意には逆らえないのだろう。
「御拝命、有難く承りました。」
だから自分も黙って、せいぜい恭しく首を垂れるだけ。
やがて、解散の号が出されて、各自が思い思いに動き出すと、真っ先に自分の元には友人がやってきた。
「凄いよ!ノエル、雨の巫女様の御側付きに選ばれたよ!快挙じゃん!もう、もう、凄いよ!」
拝命されたはずの自分よりも喜ぶ姿を見て、「ああ、よかった」と思う。
「そうだね。」
「もっと喜びなよー。だって雨の巫女様の御側付きだよ!自分なんか多分、一生選ばれないよ。いいなー、凄いなー!」
「そうだね。」
明日から、たった数日間の仕事が始まる。
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