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9年前
エクセリアのセレステン王が第3王子であるテオドールを伴い、アルべニアのルイ王の誕生日のお祝いにアルべニア城を訪問していた。
ルイ王は第1王子フレデリック、第2王子ヴァレリー、王女ブリジットの三人をテオドールに紹介するが、ブリジットは獣人を嫌っているため挨拶もそこそこにどこかへ行ってしまった。
さすがにフレデリックは長兄であるため礼儀をつくした挨拶をしてから自室へ戻って行った。
そんな二人の姿をルイ王はため息交じりに見送ったが、末の王子ヴァレリーは自分より6歳年上の16歳ながらすでに王者の風格を備えたテオドールに興味と好意を抱き、テオドールもヴァレリーと同じく獣人である自分にも物怖じしない美しい王子に興味をもった。
その姿に気をよくしたルイ王は
「ヴァレリー、テオドール王子に城内を案内してあげなさい」
「はい、お父様。こっちだよ」
そういって、満面の笑みのヴァレリーはテオドールの手を握って歩き出した。
急に手をとられたテオドールはすこし驚いたが、それ以上に鋭い爪と黒く光る毛に覆われた手を握るヴァレリーの白く美しい手に見惚れて心臓が破裂しそうなほど動悸がした。
全身が沸騰するほどであるが、オオカミ特有の黒い毛に覆われているおかげで顔が赤くなっているのを気づかれずに済んだ。
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