雨の日の怪獣

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 部屋の中で洗濯物を干す。においも気になるし、なにかジトっとしてる感じがして嫌いなんだけど、仕方がない。 「もう、ママー! 動物園行くって約束したのに」  娘の美波がさっきからずっと私にまとわりついてくる。 「ザアザア聞こえるでしょ。外、雨降ってるのわかるでしょ」  まだ三歳の娘に本気でイライラして強引に手で払いのける。 「ママが約束したの。動物園行こうって言った」  私は無視する。 「カッパ着たらおでかけ出来るよ。行こう、ママ」 「うるさいっ!」  しつこくせがむ美波のおしりを叩いた。娘は、「痛いー」とわめいて部屋の隅にうずくまると、わんわん泣き出した。大人気ない自分に腹が立ってますます機嫌が悪くなる。本当はごめんねって謝りたいのに、わざと大げさに物音を立てて、もう娘がこれ以上私に近づかないように警告を発しながら洗濯物を干すだけだった。雨は止みそうになかった。  いつから雨が嫌いになったのだろう。子供の時はそんなに嫌じゃなかった気がする。むしろ、好きだった。思い返してみると、雨の日には、いつも怪獣が現れた。
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