やまないで、雨

女の子と二人きりで海に行く日、午後から雨が降るだなんて超ラッキー。

フツーは快晴を願うものかもしれないけど、違うのさ。
雨が降ってきたら、「雨宿りしよう」っつって近くのラブホテルに誘えるじゃん。

なんで田舎の海って、ラブホテルがすぐ近くにあるんだろうな。
って俺、都会の海に行ったことないけど。
ん？都会の海ってなんだ？湘南とか？

「なにニヤニヤしてるの？」
助手席の女の子が聞いてきた。

「いや…ユナちゃんと海に行けるって嬉しいなと思って」
そう返してみると、ユナちゃんは予想通り顔を赤くした。

「も～、そういうの言い慣れてるでしょ」
と、少し拗ねた表情をしてみせた。なんともそそる子だ。

ユナちゃんとは、マッチングアプリで知り合った。
俺は26歳で、ユナちゃんは22歳。
ユナちゃんから「いいね」が送られてきて、俺から「はじめまして」のメールを送って、やり取りが始まった。