キレイになった

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 私、佐川由紀(さがわゆき)。十七歳の高校二年生。  素敵な高校生活を満喫している、と言いたいところだけれど、色々と悩み多きお年頃でもあるのです。  特にお肌の悩みは尽きない。だけど、最近その悩みに一つ解決策を見つけたんだ。  ピピピピピ。  目覚まし時計の電子音が私の意識を覚醒させた。 「朝かー……」  閉じたカーテンの隙間から入り込む朝の光を眺めつつ、私は何となくそう呟いた。  そう、朝だ。起きて、学校に行く支度をしなくっちゃ。  ベッドから降りて立ち上がる。  部屋の隅にある姿見に、私の全身が映し出された。  特に変哲の無いパジャマ。ぼさぼさの髪。眠そうな目。  姿見に近寄り、中腰になって顔を大写しにする。  ほっぺやおでこを念入りに点検。うん、キレイ。  ここんとこ、どうにも順調っぽい。 「これのおかげかなぁ……」  私は枕元に置いている、顔用のクリームを手に取って蓋を開けた。  白いプルンとしたクリームを少し手に取って肌に念入りに刷り込んでいく。  綺麗になれ、綺麗になれって念を込めながら塗ると良いんだそうな。
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