ネコの勝算

　吾輩は子猫である。
　以前の名はミーコ。
　今はダンボールの家に住んでいる。
　道端に置かれて、かれこれ3日。
　そろそろ誰かに拾ってほしいものだ。
　実をいうと見込みはある。

　なにせここは、小学校の通学路。
　今朝もひとりの女の子が吾輩をジッと見つめていた。
　吾輩が可愛くて仕方がないのであろう。
　そろそろ学校が終わる。
　おや？
　鼻先に冷たいものが……。
　雨だ。
　そういえば、今日は傘を持つ者がやたら多かった。
　雨はいよいよ本降りになる。
　早く吾輩を拾ってくれ。
　願いが通じたのか、あの女の子が走ってきた。
　女の子は吾輩を抱き上げる。
「今朝見つけておいてラッキー」
　女の子はダンボールを被って走り去った。
　遠ざかる背中を見ていることしかできない。

　吾輩は子猫である。
　以前の名はミーコ。
　雨が続いてかれこれ3日、今も道端に佇んでいる。