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「……ってとこかな」
「ふぅん、何か先生、年上の意見って感じで分かんない」
「あっそ、じゃあ同い年の奴にでも聞けよ」
「そーするー!」
そう言って彼女は快活に出て行く。
やばい、如何しよう。どんな顔をすればいいのか分からない。
ガチャリ、と開いた古ぼけたドアの音に、ぎゅっと目を瞑った。理科室からの光が私の瞼の裏を眩しくして、そして、再び影になる。そっと目を開けば、目の前には不敵に笑う担任がいた。
再び強まる雨音の中、彼はにまりと笑いながら言う。
「……聞こえた?」
ズルい、そんなの。そう思って、ぎゅっと唇を噛み締める。
私が聞かない訳が無いじゃない。
だって、いつも、理科準備室を教室から見ているというのに。ここが眺められなくなるから、私は雨が嫌いなのに。
そして、未来なんて消えてしまえばいいと思う程に辛い想いの元凶は、
――……貴方だというのに。
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