青春の味

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「……辛いけど雨に打たれ続けたら、雨が上がるみたいに、状況、変わったろ?」 「……っ」 私の勘違いだと思い込もうとしていた。だって、そんなの、あるはずない。 けれど、その台詞に、ジワリと歪む世界。もう駄目だった。ぼろり、と瞼を越えて溢れ出した涙が頬を包む彼の手を濡らして零れていく。 「言いたい事、あんだろ、……言えよ」 そう言って、彼は私の唇をなぞる。 その隙間から、素直に、その2文字が転がり落ちた。 「……好き」 「……良くできました。偶にはやまない雨に打たれてみるのも、悪くないだろ」 そう言って彼は、今までで一番の笑顔を私にくれた。 間髪入れずに重なった唇は、とてもしょっぱかった。 きっと、たぶん――……青春の、味がした。 完
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