青春の味

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しとしとと雨が降る。教室の窓に次々に雨粒は打ち付けて、一筋残して落ちてゆく。 社会の先生の声がひときわ大きくなる。ドッと笑い声が響く教室。うけたらしい。聞いとけばよかった。そんな事を思いながらも、私の視線が窓の外に向く。 雨は嫌いだ。見たいものが見えない。 まるで一瞬毎に姿を変えるモザイクの様に、いつもなら見える校庭も、体育館の屋根にある風見鶏も、そしていつも眺めている理科準備室でさえぼやけさせて歪ませる。 形が崩れた風見鶏はまるで私の心みたいだと思った。 でろでろ。どろどろ。ずぶずぶ。 どんな表現が合うかなんて分かんなかった。だけどそんな擬音語を遣うのは何だか抵抗があった。 だって私未だ17歳だもの。アオハルだなんて言わないけど、せめて青春、くらいの言葉は遣いたいわ。
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