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5.完結!!
残されたのは、何もない、ただ真っ暗な空間のみ。
この場所をもって、この物語は幕を閉じることになる。
「え、早くない?」
勇気は戸惑いを隠せない様子だ。
「ねえ、もっとしっかりしてよ、変な音聞こえる先生!!」
花子は作者に向かって訴えかける。
「ダメだ、花子ちゃん。作者が終わるって言ったら終わる。これも僕達の運命なのかもしれない」
「嫌よ!私まだ終わりたくない!死にたくない!!」
「花子ちゃん……」
当然のことながら、この私ナレーションも、ここで終わりとなる。
「でも、僕達にはどうしようもできないんだ……」
「諦めちゃだめ!作者の情に訴えかけるのよ!!」
「そんな事……できるはずが……」
「そもそも作者が最近怠けすぎなのよ!家に帰れば酒とゲーム、休日は釣りしか行ってないから最近投稿遅いし!」
「そ、そんな事が……。どうりで仁美ちゃんとも連絡が取れないわけだ……」
「誰よ仁美って」
「今は関係ないだろ」
「ねえ」
「……なあ作者!お前ならもっと頑張れるだろ!!」
勇気は壁を何度も殴る。
「今まで俺達は何のためにここまで……!」
勇気の拳から血が流れ始める。
「勇気くんが誤魔化そうとしてるのはバレバレだけどもうやめて!血まみれになってるじゃない!」
花子が勇気を制止する。
「僕達はもう……終わりだってのか……」
その時だった。
「……ねえ、あれ」
「……あれは……新しい作品!?」
見えてきたのは、変な音聞こえるによる次の作品、「デスゲーム!」のサムネイルだった。
「もしかしてあそこに逃げ込めば、僕達は助かるんじゃないか!?」
「……どう見ても助からなそうなタイトルなんだけど」
勇気は花子の手を取り走り出した。
「忘れたのかい、花子ちゃん。僕達の存在意義は『逃げる』事」
「逃げる…」
「この物語の完結という運命からも、僕達は逃げ切ってみせる!!」
「…ここまできたらやるしかないね。わかった、私勇気くんについていく!!」
「うおおおおおおおおお!!!」
こうして、勇気は花子とともに『デスゲーム!』の世界に逃げ込むことに成功した。
私はもともと実態のないナレーション。向こうの世界に逃げる事はできない。
向こうの世界の新たなナレーションに任せ、この世界の幕を閉じることにしよう。
それでは、さようなら。
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