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2.アウトブレイク!!
時は20XX年。
突如発生したゾンビウイルスによって、人々は滅亡の危機を迎えていた!!
勇気は押し寄せるゾンビをなんとか抑え、叫ぶ。
「花子ちゃん!君一人で逃げるんだ!!」
「ゆ、勇気くん…!」
花子はゆっくりと勇気の肩に手をおいた。
「もういいから。逃げるよ」
「ここちょっと感動のシーンなんだけどなぁ」
勇気は押し寄せていた一人のゾンビを突き飛ばした。
「待ってよ花子ちゃん」
「ねえ、僕思ったんだけどさ」
「なに?」
「なんかさ、ゾンビ弱くない?」
僕は後ろを振り返る。大量のゾンビ達が、僕達をめがけてのそのそと歩いて来ていた。
「いや、怖いよ」
花子は振り返らずに言う。
「でもほら、僕達こうやってウインドウショッピングしながら歩いてても全然追いつかれないわけだし」
なんなら、自販機でお茶を買い、カップラーメンを作る余裕すらある。
「うん、まあ確かにね」
「しかも、弱点だってまるわかり」
言いながら勇気は、目の前にいたゾンビの頭をピストルで撃ち抜いた。
「……言われてみれば確かに弱いかも」
「なんで人類は、あんなに弱いゾンビに負けちゃったんだろう」
「あ、私わかるかも」
花子はポテチをつまみながら言った。
「それ、僕にもちょうだい」
「いいよ。あーん」
「あーん」
「おいしい」
「ね。まるでデートみたい」
「デートかぁ。いいね」
「前に軍の人がゾンビと戦ってたとき、軍の人がなぜかゾンビの足ばっかり撃ってたの」
「なんでだろうね。ゾンビの弱点は頭なのに」
勇気は落ちてた新聞紙を拾う。
「『各地で暴動発生か』だって」
「どう見ても暴動じゃなくてゾンビパニックなのにね」
「変なの」
花子は、食べ終わったポテトチップスの袋をバッグにしまった。
「ともかく、こんなよわよわゾンビ達に人類は負けてしまったんだよ」
「あ、変異体だ」
花子の視線の先には、四つん這いで酸を撒き散らす変異体のゾンビの姿。
「あれも変な話だよ。そもそも風邪に適合もクソもへったくれもないでしょ」
「でも、ゾンビウイルスに適合するとああやって変異するんだよ」
「納得できない。風邪引いたら目からビーム出るようになった人が今までいたのかって」
「あはは、面白い」
勇気と花子は、変異体を脇目に通り過ぎていく。
「……あれれぇ、ゾンビから逃げているうちにどうやらホテル街に来てしまったみたいだ」
「ホントだ。私、ゾンビから逃げてたら少し疲れて来ちゃったかも」
「ちょっと休憩してく?」
「いいね」
勇気と花子は、なぜか今更手を繋いだ。
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