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まず「質問をする」ということで、一人の生徒が「何で先生になったんですか?」と私に聞いてきた。
「小学校の教師に興味があったので」と答えたら、「つまらない返答だな」と田原さんは口を挟んだ。私はこれ以上何を言えばいいかわからなかったので、尋ねたら、なんでも人に聞くなと言われた。
代わりに田原さんが生徒に聞いた。
「じゃあ、俺が教師になった理由を覚えてる人はいるかな」
生徒たちは、それぞれ答えた。
「先生の友達に誘われたから」
「最初は迷ったけど、やってみたら楽しかった」
「勉強するのが楽しかったから」
私はなるほどと思った。田原さんは補足するように言った。
「よく覚えてるね。勉強したことは人にアウトプット、つまり教えることでより理解が深まるんだ。教師になる勉強をしているうちに、それに気づいたんだ。だからどんどん楽しくなって、他の選択肢なんて考えられなくなった」
「でも、別に教師じゃなくたって人に教えることはできる。塾の講師や家庭教師は当たり前だけど、例えば不動産屋だって、新しい新人に教えることもあるし、お客さんに教えることもある。どんな仕事だって人に教えることはある。仕事をしてなくても、自分の子供に教えることはあるから、教えるってことは大事なことだ。みんなだって友達や兄弟、一年生などに教えることもあるだろう」
「ただ、教師というのは教えるののプロなんだ。それでお金をもらってるわけだからね。ということで、より教えるということを真剣に考える必要がある。だから難しいけど、面白い」
田原さんは長々と語っていたが、私は知らぬ間に話に引き込まれていた。田原さんの話はわかりやすく面白かった。
そこまで話したところで、また私に振られた。「どうして小学校じゃなきゃいけなかったのか」と聞いてきたのだ。
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