『見えないメッセージ』

　グリーン牧場へ遊びに行ってハヤシライスを食べた。青空の自然の空気と景色は、初めて来た私をどこか懐かしい気持ちにしてくれる。リラックスやリフレッシュするためにここへやってくる人がほとんどだろう。
　だけど、私がやってきたのはそうじゃない。鞄から分厚いファイルを机に取り出した。ずっと撮り溜めていた写真。書類を整理してみようと、ここへやってきた。

　三ヶ月前、友達が旅立った。自由に動ける時間がそう長くないからと、今やりたかったことをやるんだと言って、遠い外国へ行ってしまった。恋人や家族でもない、「友達」という存在の大きさを今頃になってようやく気づかされる。気づいていても何もできなかった。

　いつからか優しく絶え間ない音が聞こえる。ふと机から顔を上げると、窓の外に銀色に光る雫が滴り落ちていく。

　最後の一枚の写真をしまい、ファイルを閉じたとき、薄まった味のコーヒーの氷が溶けてなくなった。