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その子が歌う隊に入ったのは、TVで知った。
今日も外は静かに移動する人々がどこかへ行く。
どこに行くのかって、そりゃあ労働だろ。
毎日決まったおんなじことをさせられたら、みんな死にたくなるって、心理学者が上に提言してさ、それから毎日おんなじことを強制できなくなったもので、とにかく労働。
いろんな労働。
だから平等。
いやいやな日もあれば楽々な日もある。
今日なんか、ヤギを連れて高原の散歩。
牧羊っていうの、あれは楽しいな。
労働したら、そりゃあ平等に皆が食べるものや友情にも困らない。
便利な世界なんだ。
違うのは、特別なことだけ。
歌う隊もそれ。
芝居隊とかもある。
なんで、隊なのか知らない。
でも・・・俺、困ったことになってるんだ。
「君、L.T君。
君は歌う隊に入ることを勧められている筈だが。」
また壁の向こうから何か言ってくる。
「君達にはそろそろ、連絡が来るはずだ。
もうすぐ君は誕生日を迎え、成人の年齢になる。
そうしたら、仕事はひとつに決まり、他には移動できなくなる。
そういうシステムなのだ。」
「へえ・・・じゃあ俺、牧羊がいい。」
「歌う隊の隊長が、君を是非と言っている。」
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