現実とちょっとだけ違った世界

4/5
前へ
/5ページ
次へ
歌う隊の隊長がいきなり壁の映像になって現れた。 思わずフォークを落としそうになった。 「あの、今 俺飯の途中なんですけど?」 「君が仕事熱心なのを、専属の者から聞いたのでね。 だから飯の時間を狙ってやってきた。」 「いや、やってきてないですよね??」 「実は隣の部屋にいる。」 「どんなどっきりですか。」 「君は歌う隊を誤解している。」 「歌う、んでしょ?」 「そうだ。」 「誤解しようがないとおもうんですが」 「そこが違う。」 まずい。 そろそろ飯を食べ終わらないと室長が・・・ 「歌う隊は、世界の為に戦う隊なのだ。」 「そうですか~~~!」 「そうだ、だから君も」 「すみません、次の授業にいかないと」 ガタン・・・ 隣の女の子が涙目だ。 「いいなあ・・・私なんて、歌う隊にぜんぜん声かけてもらえないのに」 俺は思わず口にしたパンをむせそうになった。 「そ、それじゃあ、あの人に言ったらいいよ!! 君の方がやる気がある!!その方がいいよ!!」 バタバタ・・・ 隣の部屋にいた隊長が、いきなり目の前に迫ってきた。 「ほ、ほんとにいたんだ??」 「なぜそこまで嫌がるのか、理由をきかせてもらおうか」 「なぜそこまで俺にこだわるのか理由があっても聞きたくない」 ふっ・・・ 不敵な笑みって知ってる?あれ、今この人がやってる。 「君のそのがんこさは、遺伝なのだろうね。」 「そこまでいう??」 「いいな、私なんて・・・」 「あ~~~~あ!!い~~~~けないんだ、いけないんだ~~~!! 女の子を泣かした~~~~!!いけないんだ!! 室長、この人、女の子を泣かしてますよ~~~~!!」 室長は、困ったように額にしわをつくっておでこに指をあてている。 「はははは、なかなかユニークだね。 いいだろう、また来る。」 爽やかに隊長は、去っていった。
/5ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加