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春になり…
私の抵抗も空しく、佑ちゃんは一人でサウジアラビアへと旅立って行った。
空港での別れが余りにも悲しすぎて、私は涙、涙の号泣で…、わけが分からなくなるぐらい、えぐえぐと泣いてしまった。
最初は私の肩を抱き背中を撫でながら、私を宥めすかしていた佑ちゃんも、挙げ句の果てには、
「沙都、いい加減に泣き止め!」
と、呆れた顔をしていた。
だって…こんなに悲しいんだから、仕方ないだろぉ〜!
ひぃ〜ん、泣き過ぎて頭が痛い…
「佑ちゃん…」
あぁ、次はいつ会えるんだろう?
「沙都、元気にしてるんだぞ?ちゃんと飯は食えよ?腹出して寝るんじゃないぞ?」
ぐっ、私は小学生か!
「も、もっと他に言うこと、あるでしょ。」
ウチの両親と佑ちゃんの両親のいる前じゃ、何にも出来ないよね…
例えば、チューとかさ…
「沙都、ちょっといいか?」
そう言って佑ちゃんは私の手を握り、左手薬指を撫でた。
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