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最近流行のポップな歌を歌い上げる陽介に、真琴はわーっと手を叩き、奏一はタッチパネルに興味津々。
遥と久遠は相変わらずの様子でガミガミとやり取りをしていた。
「陽介っていい声してるな!ちょっとハスキーな感じで!」
「お、おうありがと…」
「つか遥先輩ってあんなに歌うまかったのかよ」
「あ、奏一は聴くの初めてだったもんな。驚いただろ〜」
「…っつうかさ、さっきから思ってたんだが」
「「え?」」
首を傾げる2人に、陽介はなんなく言わずにいたことを我慢できずに切り出した。
「ボーカルの2人が一度も歌ってねーってどういうことなんだ!?」
その指摘に、2人は今更気がついたというような顔をした。
いや、なんだその反応は。
「なんかカラオケすげぇって感動してて、うっかり…」
「俺も、タッチパネルいじってた…」
「2人とも歌う方に興味を示しなさい!」
「はい曲入れて!」と真琴にタッチパネルを渡せば、困ったように眉を寄せられる。
「俺、久遠先輩が作ったのとか兄ちゃんが歌ってたのかばっか歌ってるから、知ってる曲すくねぇんだよ」
「え、マジ…?そんなことある…?」
「でも少しくらいはあるだろ?」
「うーん…、……あっ」
思いついたというように真琴がぎこちない動きで曲を入れる。
すると流れてきたのは……
「……これ、演歌か…?」
「みたい、だな…」
まさかの芝い選曲に一堂が呆気に取られていると、真琴がこぶしを効かせながら気持ちよく歌い出す。
それがまためちゃめちゃ上手く、予想外のこと過ぎて周りは爆笑の渦に包まれるのだった。
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